動物の福祉と権利

 人間の利便のために動物を利用するものと言えば、ほぼ全部なのですが、とりわけ、毛皮、動物実験、食肉、娯楽、狩猟などの残虐性は一度知ってしまえば、何かせずにはいられません。この分野は昔から一般大衆の目には触れさせず秘密裏で行っています。そこに勇気ある御人が隠しカメラを持って潜入したり、内部告発をしたりして、やっとその残酷な実態がわかるというわけです。
 私たちは、何か残酷なことが行われているのだろうと思いつつ、しかし、自分に何ができると、目をつぶってきたのではないでしょうか。仕方ないと思いつつ、「考えないようにする」「知らなかったことにする」と見過ごしてきたのではないでしょうか。
 ポール・マッカトニーは「もし屠殺場がガラス張りだったら誰も肉を食べないだろう」とキャンペーンしています。毛皮を作るプロセスを見れば、二度と袖を通す気はならないでしょう。
 いずれはそれぞれの項目を詳細にご紹介したいと思いますが、今回は動物実験に関しては簡単な略歴、その他に関してはPETA(People for the Ethical Treatment of Animals:動物の倫理的扱いを求める人々の会 )のホームページからの抜粋としました。

動物実験

以下はウィキペディアより抜粋

世界初の動物実験反対組織 イギリスの歴史的動き

 The National Anti-Vivisection Society (NAVS) はロンドンに本部を置くイギリスの動物福祉非営利団体で、動物実験の廃止、そして人々に教育していくことを目標とする。
 当団体は1875年にミス・フランシス・パワー・コブによって設立された動物実験反対のキャンペーンを行う世界初の団体である。コブ氏は実験に反対するパンフレットや記事を数多く発表し、ビクトリア女王、シャフツベリー卿などを含む多くの著名人の支援を得た。また当時の社会運動の団体、子供や女性の権利のための団体などが、動物実験反対の目標に賛同し、協力を惜しまなかった。
 当時は年間300以上の実験が行われ、動物が頻繁に使われるようになっていた。動物実験を推進するグループは英国政府に1876年1月8日動物実験を管理する特別法を要請し、動物実験が合法化されていくのである。動物実験所に秘密裏にライセンスを与え、研究者や実験自体を一般公開せず、場所も隠した。どんな理由であろうと、たとえ議員であれ、マスコミであれ、立ち入り禁止にした。それ以降1986年に新しい法律にとってかわるまで、100年間、政府から科学界からも保護され続けた。実験で使われる動物の数も研究所の数も雨後のたけのこのように増え続けていくのである。しかし動物実験反対のグループも増えてくる。

ブラウン・ドッグ事件

 1906年、バタシー・パークに小さな小型犬テリアの銅像が置かれた。ロンドン大学で秘密裏に行われていた動物実験の犠牲になった犬たちの一匹を記念して作られたものである。そこには次のように書かれている。
 「1903年2月、大学の研究室で死んだブラウンのテリア・ドッグを記念して。次々に研究者の手に渡り死が自由を与えるまで数ヶ月間苦しんだ。そして1902年に同じ場所で実験された232匹の犬の思い出も一緒に。イギリスの男と女よ、いつまでこれを続けるのか?」
 この銅像はロンドン大学の医学生や研究者の怒りのターゲットになり、銅像を守ろうとする人々との間で暴動が起こった。年老いたコブ氏もオフィスで襲撃されることになる。
 数年の闘争を経たのち、銅像は1910年に忽然と消えてしまったが、1985年にNAVSや他の団体とともに銅像が再生され、記述の内容も同じにして、今現在バタシー・パークに見ることができる。

政府の動き

政府はNAVSや他の団体からの資料を集め1912年にその成果を発表し、監視委員の数を増やした。痛みや収容の規定を付け加えたりしたが、全面廃止から程遠いものであった。非公開という件に関しては何もなされておらず、動物実験反対の団体が外から抗議するしかなかった。
  1963年には動物実験の数が最高潮に達するも、一般人には何も知らされていないことには変わりはなかった。法の改訂が必要かどうか監査する目的で委員会も設置するが、動物実験を終了させるためには何の役にもたたず、法律も通過しなかった。
 1970年までに600万の動物実験が行われるまでになっている状況に対してNAVSは政府に強い抗議活動を行った。ワクチンの実験用にインドから大量に輸入していたタアカゲザルはそのために絶滅の危機になった。NAVSの代表はインドへ飛び、アカゲザルの輸入を禁止するよう説得した。1978年のことである。
  1973年、NAVSは、第二次大戦で活躍したヒーローであったダウディング卿の冠をつけた基金を設置した。卿は戦後NAVSの会長になり、国会で動物実験に関する素晴らしい演説を行い、議員の説得に努めた。そして医療や科学実験においてダウディング基金による技術やテクノロジーを駆使した動物に代わる実験方法を提案することによって何万匹もの動物の命が救われたのである。
 4月24日、ダウディング卿の誕生日を世界の反動物実験の日と定めたのは1979年のことである。

近代の動き

1983年、政府は1876年の法律を改定することを発表したが、改定案に斬新さは見られず、NAVSをがっかりさせることになる。しかし今回は完全なる廃止には到達できないと認識して、合理的なアプローチをとることにした。然るに、イギリスのほかのグループ、BUVA,アニマル・エイド、スコティッシュ・ソサエティなどと組んで、新しい法律のもとで廃止させるべき実験のリストを作成し、薬の致死量、眼刺激性テスト、など様々なテストの廃止と法律の是正を求めて長くハードなキャンペーンを行うのである。それが実を結び、1986年5月20日改訂動物法(科学プロセス)の誕生を見た。化粧品に動物実験廃止をさせるのは1990年の終わりまで実現できなかったが、猿を実験に使う規制が始まっていた。

ミッション

NAVSは研究者、科学者、製造者、教師、政府のリーダーたちに人間的なアプローチを教育することを使命としている。それによって毎年多くの動物の命が救われ、子供たちがより安全で、より健康的でより幸せな未来へと歩いていけると信じている。

ハンティング

以下はPETAホームページより抜粋

 太古の時代には生きるために狩猟は必要だったかもしれない。しかし今は単にスリルを求めて動物を追いつめ、殺す。この不必要な娯楽は動物たちの家族をひきちぎり、多くの孤児を生み出し、急所をはずした動物に地獄の苦しみを味あわせるだけである。

痛みと苦しみ

 一発でしとめることはまれである。重傷を負わせられ、長い苦しみを経て死に至ることのほうが多い。石弓で射た動物の直接の死因の50%は怪我であるという統計が出ている。怪我のために死ぬと少なくとも15分以上苦しむ。キツネ狩りの場合、20%はとどめをささなければならない。運良く逃げおせた10%は、餌をとれずに死んでいくだろうといわれる。
   ハンティングはまた渡り鳥や冬眠といった自然のシステムを破壊し、家族をばらばらにする。ガチョウや狼などは非常に家族の結びつきが強い種類で知られる。狩によって家族を奪われる群れの打撃は計り知れない。
 耳を引き裂くような銃の音は生息する動物たちにとってどれだけの恐怖とストレスをもたらすことか。彼らの日常的な餌取りや、巣を守っている親動物たちを恐怖に落としいれ、巣から離れてしまうこともあり、残された子供たちは天敵に捕食されてしまう。

スポーツとしての狩猟 公正なスポーツであるか

 残酷さを隠すため、そして社会的に聞こえをよくするために、スポーツと呼ぶことが多い。しかしスポーツというのは二者間が競争を納得した上で行われるものであり、そこには必ずレフリーがいる。参加の意思のないものを意図的に殺してそれをスポーツとすることはあり得ない。しかもライフルやショット・ガン、石弓など。逃げるチャンスが何一つない武器を使う。これを公正なスポーツと言うのか。

自然がうまくやってくれる

 ハンターが良く使うことばに「頭数の規制のため」というのがあるが、狩猟目的で繁殖、養殖しているではないか。突然変異でたとえ動物の数が過剰になったとしても、そこに人間の介在は不要である。病気になったり、弱い子ができたり、健康で強い動物が生き残るようにと、自然がこのデリケートなバランスをとってくれているのだ。
 ハンターたちは動物の首を暖炉の上に飾るのが好きである。大きい首ほど重宝がられる。しかしそれは群れの長を意味するのである。リーダーを失った動物たちの種の保存も危機に陥る。弱いものだけが残り、食料を探すのも、厳しい冬を乗り越えるのもできなくなる。ハンターは動物の頭数を管理しているのではなく、破壊しているのである。

金儲け

 国立公園や野生自然公園の中には金儲けのために狩猟活動や魚釣りを奨励しているところがある。学校に出かけて小さいころからハンティングに親しんでいる方が良いと、子供たちに薦める。またライセンスを持つことを考えないような女性や年寄り、外国人などに向けて、イベントを開き、ハンティング・ライセンスがどんなに素晴らしいか説得する。
 もし最初の年で殺すことができれば、次の年もライセンスを更新することがわかっている。しかるに「ワイルドライフ管理」や「保存プログラム」と銘打ったプログラムを紹介し、自然界には多くの動物がいるので殺しても問題はないと、かえって頭数コントロールに参加し、実際は地球に貢献しているのだと巧みに誘う。
 彼らはハンティング・ライセンスを発行することによって多くの税金が入る仕組みになっている。そしてハンティング、魚釣りなどの道具にかかる税金もばかにならないので、必死に宣伝する。ハイキングやバード・ウォッチングなど、お金を生み出さないアクティビティ・グループにはあまり発言権がないのである。

頭数制限

 不妊手術を施すなど、頭数を管理する別の方法を模索している団体もある。長い目でみるとより効果的である。ニューヨークでは鹿を捕え、手術してまた放す試みを行っている。ニュージャージーでは雌鹿にバース・コントロールワクチンを実験的にうち始めている。
 私たちができることは、自然保護団体をサポートする前に彼らの狩猟に関するポリシーを確認すること。自然保護団体とうたってはいるものの、ハンティングをサポートしている団体、反対していない団体などがたくさんある。

 殺すことに喜びを見出している人間に 「死ぬ前に拷問のような苦しみを味わう」とか「家族がばらばらになる」などと言ってもカエルの面に水でしょう。そんな感情がある人たちは最初からハンティングをするわけありませんから。それにしても学校に出かけてハンティングを推奨するとは。未来の大人たちに対して実に重い罪です。

毛皮産業

 毛皮農場からだろうと、わなにかかった野生の動物からだろうと、すべての毛皮製品、毛皮アクセサリー、それは死んだ動物たちから毛皮をはいだのではありません。生きたまま皮をはがされるという想像を絶する残酷な苦しみを味わって死んでいった動物たちの遺していったものです。

以下はPETAホームページより抜粋

毛皮農場の動物たちは汚くせまい、鉄格子の中につっこまれている。皮をはがすのは金のかからない、窒息、電気ショック、ガス、そして毒などの一番残酷な方法が選ばれる。
  合衆国の毛皮の半数以上は中国から来る。犬や猫は棍棒でたたかれ、つるされ、出血多量で死に、多くは生きたまま皮をはがされる。中国は特に残酷な方法で殺す。だいたい何の毛皮かわからないことが多い。
 わなにかかった野生動物は何日も苦しみ、出血多量、ショック、脱水、凍傷、えそおよび捕食動物による攻撃で死んでいく。鉄ばさみは足をはさみ、その威力は骨を切るほどである。90ポンドの圧力を与え首をへしおるワナも使う。水にしかけたワナはビーバー、ジャコウネズミおよび他の水辺動物を溺死させる前に9分間ほどの苦悶の時間を与える。
 カナダのあざらしの赤ちゃんは母親の前で毎年何万頭も棍棒で撲殺される。また、エリザベス女王の衛兵の帽子のために何百頭のクロクマが射殺されたり、わなにかけられて何日も苦しむ。. 保温するために、かっこよく見せるためにこれほどの残酷な犠牲が必要なのか。フェイク・ファーの店はあちこちにある。PETAはデザイナーやストアと協力して、毛皮を使わないファブリックのみを使用するよう邁進する

以下はウィキペディアより抜粋

世界の主たる毛皮農場はヨーロッパで、約6000の毛皮農場がある。世界のミンク毛皮のうち67%、きつねは70%のシェアを持っている。

<毛皮農場国、輸出国そして輸入国>
デンマーク、オランダ、ロシア、フィンランド、中国、スエーデン、カナダ。フィンランド

<毛皮農場の廃止国>
オーストリア、クロアチア、イギリス、スイス

<イギリス>
イギリスは11毛皮農場があったが、保護活動家のキャンペーンによって、2000年、イギリスとウエールズで補償と引き換えに最後のミンク農場を閉鎖した。スコットランドでは1993年に最後の毛皮工場が閉鎖され、2002年スコットランド国会で法的に禁止された。今は、食用のうさぎと羊が皮にも使われているが、活動家はこのタイプの農場にも圧力をかけている。

食用動物

 一般人の目には触れさせないようにしている食肉産業の動物虐待、屠殺場の想像を絶する劣悪環境。毎年毎年皿の上から肉を排除している人が増えている理由はたくさんあります。ベジタリアンになることにより、肉体の健康だけでなく、精神の健康も得ることができるのです。

以下はPETAホームページより抜粋

食用の動物

 農場動物は知的であり、あなたがたが友達だと呼ぶ犬や猫と同じように痛みを感じる。いろいろなことに興味をもち、個性的で、自分たちの生命を大切にし、問題を解決しようとし、痛みや恐怖の感情をもち、道具だって使えるのである。
 合衆国で年間160億頭以上の動物たちが食用に殺される。そして犬や猫だと違法になる虐待でも、肉用動物になると虐待から保護される法律が存在していないのである。乱暴に扱われ、慢性の痛みを引き起こす遺伝操作の薬漬けにされ、身体を切断され、悪天候の中を悲惨な状況で輸送させられ、最後には陰惨で暴力的な方法で殺される。
 フリー・レンジといいながらも実際は、汚い病気の巣窟のようなケージに詰めこまれ、水や食べ物も与えられず、屠殺場への長い道のりを連れていかれ、他の肉用動物と同じように痛みどめなしに殺される。

健康

 肉をやめると生涯健康で過ごせる。人間が生きていくために必要な栄養はベジタリアンやビーガンの食事ですべてまかなえる。心臓病、成人病、肥満、脳血管障害、重度のガンなどから守ってくれる。免疫力もつき、肉を摂取する人たちより10年長く生きる。

環境問題

 肉を食べないことは環境にも優しい。アメリカの肉混合物は汚染をまきちらし、空気や水を汚染する。合衆国で使用される水の半分は農場に行く。人間の130倍も出す農場動物の糞尿は水のシステムを汚染する。

世界的な飢饉

 動物を育てるためには大量の食料を必要とし、汚物も大量に出る。飢えている人々の食料をも奪うことになるし、それで育てた肉は世界中の人々を満たすことはできない。肉を食べる代わりに安い野菜や穀物を大量に育てれば、世界の多くの人に食料がいきわたる。

地域の環境汚染

 食用肉工場の近くに住む人たちはどの方角に住もうと、汚染された空気にさらされる。慢性病、脳の病気、汚染される水路。ガン羅漢率が高くなり、死疫病にさえかかってしまう。政府は畜産業を守るために、国民を守る法律や対策をたてない。守るのは私たち自身しかないのだ。肉を食べないという選択が大きく変化させることになる。

「みどりの癒し」木津龍馬 より

農耕民族のほうが明らかに長寿です。四足の動物のような「お皿にのらない大きいもの」「自分が捕まえ られない生きもの」「素早く動くもの」は食べず、人間の手の届く物の中でなるべく人間と「進化形態と違う命」(植物)をいただく。それが人間の食の基本な のです。

娯楽用の動物

以下はPETAホームページより抜粋

 チンパンジー、熊、トラ、象、そして他の動物たちは俳優でもなければ、道化師でもない。なのにばかげた、混乱させるような行動を、肉体的罰を行使して強要する。自転車に乗らせられ、逆立ちをし、ボールの上でバランスを取り、火の輪をくぐる。わけのわからない行為をトレーナーは鞭や首かぎ針、きつい首輪、口輪、電気棒など拷問のような道具を使って強制的におぼえさせる。
 用がすめば、狭く汚い檻の中で鎖や鉄棒につながれ、足かせをはめられ、家族と離れ離れにされ、あちこちへ運ばれる。死んでしまう動物もたくさんいる。すべて人間の娯楽のために。
 サーカス、動物園、水族館、爬虫類ペット・ショー、テレビ、映画、見世物、そして闘牛、ロデオ、競馬などの残酷なスポーツ。儲かることだけしか頭にない人間たちにとって動物の福祉のことなぞ想像だにしない。
 動物園は知的な動物たちから、大切な自然の生活を奪っている。動物園の生活は、極端に退屈で、気落ちする。動物園病と名づけられた精神の病は、頭を打ち付けたり、ぐるぐる回ったりといった奇妙な行動に表れる。非常に攻撃的になり、自分の糞を投げつけたりする。こういった不自然な行動は自然界では見られない。
  ロデオやドッグレースなどの残酷なスポーツをさせられる動物たちは役に立たなくなるまでこきつかわれる、闘っていないときは狭いケージに鎖でつながれている。最後は肉屋に送られるか殺戮が待っている。
 PETA は動物たちを永遠に娯楽ビジネスから救い出す決意をしている。

 イギリスでは2010年、隠しカメラにより、虐待されていたサーカス象アンが保護され、イギリスで最後のサーカスの象となったニュースを国民は大歓迎しました。水族館でもあしかやおっとせいなどのショーもありません。